「どうぶつ家具」は、2021年、大牟田市動物園(福岡県)の中に日本初の動物園内にある絵本美術館である「大牟田市ともだちや絵本美術館」がオープンしたとき、デザインした特注家具がはじまりです。「思わず絵本の世界に入ってしまうような、動物にちなんだ家具が欲しい」というのがMikkoへのオーダーでした。そこで「動物と親しくなって、絵本のようなファンタジーを感じられる家具を作ろう!」とMikkoは考えました。
Mikkoは、小さい頃から絵本が大好きで、いろいろ空想するのが好きでした。とくにとっても好きだったのが『ひとまねこざる』(原題:Curious George。ハンス・アウグスト・レイ&マーグレット・レイ夫妻の共著。1947年。ハンス・アウグスト・レイの死後、これを原案にした『おさるのジョージ』が1998年以降制作され、今も広く愛されている)の絵本のシリーズ。このオーダーを受けたときに、ジョージの絵本のワンシーンを思い出しました。
「ジョージが、お部屋の椅子やテーブルにペンキを塗ったりシーツをかぶせて、お部屋をまるっとジャングルみたいにしちゃったシーン!」
子ども時代には、そんないたずら心で現実世界を夢の世界に置き換える想像力とか空想力があったけれど、大人になるとそういうピュアな幸福感がなくなっていく……それってとっても残念。
そこで、現代の子どもや大人たちに、この絵本美術館に来たときには、「クスッ」となるいたずら心を思い出すような、絵本の世界に迷い込んだような、そんな魔法の時間を体験してもらいたくて、どうぶつ家具を作りました。
このどうぶつ家具シリーズには、物語があります。
「大牟田市動物園の動物たちは、本当はもっと遊びにくる人たちと仲良くなりたいんだよ。だけど、いつも檻ごしにしか遊べなくて、残念だよね。そこで動物たちが、絵本美術館ができるのを知って、こっそり<家具>に化けて遊びに来たんだよ〜!」
「よく見ると、この椅子、たてがみがあるよ! あっ、猫足もついてる!」
「お腹に月のマークがあるのはツキノワグマさんかな?」
みんなうまく隠れている気だけど、ふふふ……見えちゃってる。
動物たちは、いつもこの美術館で、みんなといっしょに絵本を読んで楽しんでいるんです。
椅子にしっぽや耳や模様が付いているだけで、思わずワクワク、想像して楽しむような椅子たちができあがりました。絵本と動物と空想の好きなMikkoからの贈り物です。
そしてこれらの特注家具が好評だったので『動物園内にある絵本美術館』の了承を得て、各家庭や幼稚園、図書館、キッズ・コーナーなどでも使ってもらえるよう、一般に販売することが実現しました。
どうぶつ家具の売上の一部は、「動物福祉を伝える動物園」をコンセプトに、動物の暮らしの向上に取り組んでいる大牟田市動物園に寄付します。
今までの動物園は、人間の目線ファーストで作られていて、動物にとっては居心地が悪かったり、本能が満たされない環境であったりすることが多く、そのため動物が精神的、肉体的に健康に暮らすことが難しいと言われています。そこで近年、世界では「動物福祉」が注目されていますが、日本ではまだ動物の気持ちを大切にしようという配慮は遅れています。
されど大牟田市動物園では「動物の心と体の健康を一番に考えた動物園です」というポリシーを掲げています。本来のその動物種らしい姿や行動を見て学び、来場者にも動物福祉についていっしょに考えてもらいたいと考えている、先進的でハートフルな動物園です。ただ、そのためには動物の食べ物やすみかなどの環境に特別な配慮をする必要があるので、少しでもそれを支援するために寄付します。
大牟田市動物園:https://omutacityzoo.org
どうぶつ家具には、2つのバリエーションがあります。
ライオン、ナマケモノなどの椅子たちは、「アフリカン・プリントの椅子」と同じ、業務用の椅子の日本シェアN0.2のアダル(福岡県)という家具メーカーに製作を依頼しています。もともとある業務用椅子をベースに、そこにふわふわのファー素材などでしっぽやたてがみを作ったり、木工を3D加工した特注の角などを取り付けたりしています。
Mikkoはこれまで福岡市科学館、Z会ホールディングスの学習塾などに、このアダルの椅子たちをセレクトしてきた実績があります。品質、信頼性の高いメーカーで、工場の職人さんの腕も良いので、しっぽやたてがみなどの特殊な加工も安心してお任せしています。
カメ、ブタ、アザラシは、ベルギー発「sixinch(シックスインチ)」という特殊なポリウレタンフォーム塗料のコーティング技術を使った家具ブランドの日本法人に依頼しています。作っているのは日本国内です。
この製法は、形も色も自由に加工してコーティングできるのが特長。デザインと使い方が無限に広がり、おもしろい家具を作ることができるので、Mikkoは気に入っています。これまで日本科学未来館「”おや?”っこひろば」やNHK Eテレ「いないいないばあっ!」のスタジオセット、三重県総合博物館「こども体験展示室」、星野リゾート・トマム「 Cloud Bed」、そのほか民間の保育園などに、このsixinchで特注デザインしたものを納めています。
まずウレタンフォームの塊からオリジナルでデザインした3D形状の形を切り出し、そこに特殊なポリウレタンフォームでコーティングしていきます。コーティング材は、伸縮する特殊なものですが、小さな子どもが触ったり、舐めたりすることを想定し、さまざまな安全基準をクリアした材料や工法を採用しています(下記※印参照)。またこのコーティング材は、防水効果もあるので屋外でも使うことができます。将来的に、塗装をやり直して、再度コーティングすることも可能です。
このユニークな成型ウレタンフォームのどうぶつ家具は、可愛い見た目はもちろん、安全性や耐久性もあります。店舗やホテルのキッズスペース、保育施設などにオススメです。
● 食品衛生法・食品、添加物等の規格基準 認定 / 2013年5月15日 No.130400869
● 玩具安全 (ST) 基準 ホルムアルデヒド分析試験 適合 / 2016年3月18日 No.150406655/150406656
● 繰返し圧縮残留ひずみ試験 (JIS K 6400-4:2004 A法) 低下率2%未満適応 / 2016年3月16日 No.TB-15-028865
● 摩耗強さ品質検査 (JIS L1096 E法) 4級適応 / 2016年3月14日 No.MG-15-043575R
どうぶつ家具だけでなく、ほかの遊具や家具と組み合わせて、キッズルームなど空間全体をコーディネートするご提案も可能です。まずはメールでご連絡ください(コーディネート相談料は別途となります)。
問い合わせ先:mikko@mother-architecture.org