「アフリカン・プリントの椅子」は、Mikkoがアフリカン・テキスタイル(アフリカの生地)に惚れ込んだことから始まります。2008年からアフリカに通うようになって、現地の女性が着ているアフリカン・プリントの色使いが「素敵!」と感動しました。誰もが好きな色柄を思い思いにアレンジして、個性的に、ポジティブに着こなしていました。その姿を見てアフリカン・プリントが大好きになり、アフリカに訪れるたびにいつも生地の買い付けをしていました。
しかし2020年、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックが世界を襲い、日本でも仕事はおろかプライベートで友人にも会えない日々が続きました。
そんなときアフリカの、陽気で明るく、カラフルな色柄の生地が手元にたくさんあることを思い出しました。試しに自分用にアフリカン・プリントを使った家具を作ってみて、リビングに置くと「家具たちがめっちゃ元気な気分に」させてくれたのです。
家具というと、無難なものをついつい購入してしまいがちですが、「ふだんの暮らしの環境を、もっとワクワク明るく、ファンタジーあふれるものにしたら、毎日ハッピーに、前向きに暮らしていけるのでは」と思いました。そんな元気をたくさんの人に届けたくて、いろいろな色の組み合わせを楽しめる「アフリカン・プリントの椅子」を作りました。
色鮮やかなアフリカン・プリント文化は、実は植民地時代にヨーロッパ人が生産した商品を、アフリカへ運び、アフリカ人に流通させてできあがった文化です。アフリカの女性たちがカラフルなものを好むので、そんな色柄がたくさん売れて、現代ではアフリカ人のアイデンティティのようになっていますが、実際はアフリカで作られているのは今もごく一部で、生産のほとんどはアフリカではありません。
生地の生産国は、最初はオランダやイギリスが主流でしたが、その後はインドになり、近年では流通してるほとんどの商品が中国製です。現地のアフリカの人々には、ほとんどお金が落ちてこない構図になっています。けれども最近、少しずつアフリカの人の手で作ろうと頑張る、現地のメーカーもでてきました。Mikko the Magicは、そうした現地メーカーの生地を買い付けるようにして、アフリカのコミュニティをエンパワーする(弱い立場の人々やコミュニティをPowerのある状態にさせる)ことを応援します。
さらにアフリカン・プリントを使った商品はすべて、売上の一部を「公益財団法人 ジョイセフ」の妊産婦支援プロジェクトに寄付しています。ジョイセフとは、人口・保健分野における国際協力の推進を通し、母子保健、HIV・エイズ予防はじめ人々の保健の向上と福祉の増進に寄与することを目的として設立された国際NGOです。
Mikkoは、ジョイセフの妊産婦支援プロジェクトにも長年関わっています。ザンビアでのマタニティハウス建設もそのひとつです。マタニティハウスは、村の人が参加して、みんなでお産の施設を完成させるというとても素敵なプロジェクト。ジョイセフを通じての寄付は「元気をもらっているアフリカの女性たちへの友情のお返し」なのです。
公益財団法人 ジョイセフ:https://www.joicfp.or.jp/jpn/
膨大なアフリカン・プリントの色柄バリエーションの中から、まずはMikkoが日本の住環境に椅子として置いても違和感のない、絶妙な色柄の生地を掘り出すところから始めます。
アフリカン・テキスタイルは洋服用の生地なので背もたれ部にだけ使い、座面は耐久性や撥水性が高い業務用椅子に使用される、丈夫な張地を用いました。選抜したアフリカン・プリントの背もたれ部と、どの座面用張地を合わせると素敵か、何百もある業務用椅子の張地サンプルの中から吟味して、数パターンをチョイスします。
さらに3Dソフトを使って、柄合わせのシミュレーションをして、ぐるっと360度どんな見え方になるかまでしっかり検討した上で、商品としてアップしていきます。長年、空間デザインやプロダクトの開発をしてきたMikkoならではのスキルが発揮されています。
背もたれ部分に張るアフリカン・プリントは、Mikko自身がアフリカの現地のマーケットに行って掘り出して買い付けたタイプ、現地のアフリカ生産メーカーから取り寄せたタイプ(GTP社/ガーナ、Uniwax社/コートジボワールなど)、老舗アフリカン・プリントのオランダのブランド(Vlisco(フリスコ)社/オランダ)のタイプの、3種類があります。
Mikkoが実際に手にとって触って色柄を見ているので、Mikkoのお眼鏡にかなった、センスの良いものが多いです。ただ、地元の問屋やセレクトショップ、マーケットなどで現地の人と同じように買うので、生産者などの詳細はよくわかりません。
デザイン的に洗練されたものを見つけるのは時間がかかるときもありますが、エシカルな(倫理的で地元コミュニティを応援できる)生地といえます。
生地の品質もデザイン性もとても良いです。老舗の貫禄と安心のクオリティを感じてもらえると思います。
アフリカン・プリントを用いた椅子を製作するのは、日本の業務用家具メーカー・シェアno.2の福岡県にある株式会社アダルです。アダルは、福岡にある有名繁華街の飲食店などの、ソファや椅子の製作と張替えを、長年やってきたメーカーとして実績があります。アフリカン・プリントの生地を張る難しい加工も引き受けてくれました。
アダル本社の福岡工場にMikkoも出向いて、生地の裁断・加工はじめ椅子張りの職人さんと、いちから細かく協議しながらいっしょに開発しました。
業務用家具メーカーが作ってくれた椅子なので、耐久性はお墨付きです。来場者の多いホテルや商業施設での使用にも耐えられるように企画した椅子なので、長年愛用してもらえると思います。
お気に入りのアフリカン・プリントの生地から、以下のバリエーションがあります。
<シートの形>
1)肘つき
2)肘なし
<脚のタイプ>
A)木脚
B)スチール脚
C)スチール脚のキャスター付き
<座面の張地>
粗目織物、別珍生地(ベロア風)、フェイクレザーなど
選抜したアフリカン・プリントを用い、そのプリントの良さが引き立つ、Mikkoが「可愛い!」と思ったデザインや組み合わせのものを商品化し、ECサイトに紹介しています。
アフリカン・プリントは、季節ごとなどデザインの更新が早く、現地で買い付けたものはもちろん、メーカーから取り寄せた生地でも数量にいつも限りがあります。
さらに、通常の販売単位である6ヤード(約5.5m,、幅1.2m)の生地から作れる椅子は、柄合わせもこだわって生地を裁断するため、最大4脚です。そのため同じ色柄の椅子の数はとても少なく、すぐ完売になってしまいます。
「そのかわり世界に数脚しかない、特別なチェアだってことは保証するよ」
さらに椅子のセミオーダーもお受けします。ECサイトになくても「シートの形はこれだけど、脚はこっちがいい」というカスタマイズも可能。座面の張地も、写真どおりの組み合わせだけでなく、他の色や素材を使うこともできます。まずはメールでご相談ください。
その場所にある椅子を、全部アフリカン・プリントの椅子にしなくても、たとえば同じ椅子の形で、単色の張地のものと混ぜたりすれば、統一感のあるコーディネーションになります。ホテルや飲食店、商業施設、公共施設、個人宅などに向けた、おすすめコーディネートのご提案も可能です。まずはメールでご連絡ください(コーディネート相談料は別途となります)。
問い合わせ先:mikko@mother-architecture.org